更新情報
2024年11月 茶況_No.408
産地情報
令和6年12月3日
茶 況
茶園では来年の一番茶に向けた管理作業を進めています。定期的に茶園を巡回して風が強く当たる茶園には垣根や防風ネットを設置して防風対策に努めます。防寒対策には乾燥したススキや笹などの山草を10㎝位に切断して茶園の畝間に敷きます。凍結防止・保湿・肥料になり美味しいお茶づくりには欠かせない重要な作業です。各地区で茶園共進会が開催されています。茶枝の揃い具合や根の成育、土壌の状況などを確認して採点します。表彰された生産者は日々の努力が報われます。また、県や市やJAが主催する勉強会では煎茶から碾茶への転換方法や、普通栽培から有機栽培への転換方法などを勉強しています。
国内需要は茶価低迷の強い危機感があり、海外からの需要の高い有機抹茶にシフトを考える生産者もいます。そして、販路を持つ問屋とのマッチングを強化して契約栽培につなげ経営の安定化を目指します。通常の茶生産に比べて病害虫などの栽培管理に手間がかかりますので病害への耐性が強い「つゆひかり」や「しずゆたか」などへの品種の転換を模索する生産者もいます。静岡県の茶栽培面積は1988年の23.300haをピークに減少に転じ毎年500ha減のペースで減り続けています。特にこの20年間の落ち込みは顕著です。生産者が出荷する荒茶は数量で3割減、金額では7割減、茶農家数は1/4になってしまいました。一向に上がらない茶価に苦しむ生産者の悲鳴は生産者・産地問屋・消費地小売店ともに強い危機感となり廃業という選択も選択肢のひとつとなって来ました。農業が生き残るために浜松市は農業振興ビジョンを発表しました。基本理念は豊かな資源を次世代につなぐ「もうかる農業」の実現です。農業者・市民・事業者・行政が連携して「オール浜松」で農業連携に取り組みます。基本方針には「持続可能で発展する農業の確立と農村の保全」を据えました。基本施策として①農業経営の基盤強化②担い手の確保③付加価値の向上④優良農地の確保⑤ユニバーサル農業の推進⑥国内外への販路開拓⑦外国人材など農業人材の確保⑧スマート農業の推進⑨耕作放棄地の解消⑩6次産業化・ブランド化など現状と課題を抽出して生き残る農業を目指します。
産地問屋は歳暮商戦に向けて仕上・袋詰・出荷作業を進めています。適正在庫なのか粉茶・棒茶の出物類を除いては、問屋間の荷動きはほとんど見られません。各地区で開催された品評会入札会も各SDG問屋とも上級茶の仕入姿勢が慎重で低調でした。各問屋の売上減少は避けられず体力があるうちに廃業を選択する問屋も出始めています。すべての条件を再検討して立て直しを図りますが、一歩間違えれば奈落の底です。気を引き締めて、次の戦略、次の一手を慎重に確実に考えています。
消費地では歳暮商戦の本格化に向けて「こだわり・やすらぎ・もてなし」などをテーマに厳選ギフトを用意して需要の掘り起こしを図っています。法人・個人ともに贈答先を絞り込む傾向が年々続き、生活防衛意識は根強く感じられます。そして品物を選ぶ目が年々厳しくなっています。「あのお店のあの商品をあの人から買いたい」と選択されるような売場つくりに日々努力を積み重ねます。某社長さんは「神経を研ぎ澄ましてお客様の要望を感じ取ること、それにはお客様を見続けること。それ以外に生き残る道はない」とおっしゃいました。必要な物だけを買う節約傾向はこれからも続きますので今年も厳しい年の瀬になりそうです。
エシカル消費
世界的に注目度が高まっているSDGs(持続可能な開発目標)は国連加盟193カ国が2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標として17のゴールから構成されています。そのSDGsと深く関わっているのが「エシカル消費」です。環境破壊や貧困など社会課題の解決につながる商品を選ぶエシカル消費が広がっています。エシカル(ethical)は英語で「論理的な」「道徳上」といった意味を持ち「エシカル消費」を直訳すれば「論理的な消費」「道徳的な消費」となります。消費者にとって消費活動は自身の欲を満たすものであって、そのために企業はさまざまな商品開発を行い商品として発売してきました。しかし、そうした姿勢が環境や社会に大きな負荷をかけ歪みを生み出してきたのも事実です。SDGsが浸透する中で12番目のゴール「つくる責任つかう責任」持続可能な消費と生活のパターンを確保する。13番目のゴール「気候変動に具体的な対策を」気候変動とその影響に立ち向かうために緊急対策を取る。このゴールを目指して持続可能な社会を実現するために注目されてきたのが「エシカル消費」です。①ゴミ削減のために使い捨てではない商品を購入する②プラスチックゴミ削減のため代替素材商品を選択する③SDGsを推進するメーカーの製品を選ぶ・・・などの消費行動が目立つようになりました。商品選択時にこれまでは「価格」や「好み」が優先されがちでしたが、SDGsが浸透する中で消費者の思考も徐々に変化して価格や好みよりもエシカルな視点や消費を意識する人が世界中で徐々に増えているのです。
造る側も売る側もエシカル消費を意識して取り組み内容をアピールすればイメージアップ、差別化、ブランドアップにつながるために「エシカル消費」を積極的に意識してアピールするようになりました。エシカル消費は消費者と企業の両輪で進めるものです。これから消費の中心になっていく若い人たちはSNSを駆使して情報を仕入、自分にあった生活スタイルを見つけます。環境に良いのか、捨てることまで考えて商品を選ぶ若者もいます。
消費者は自分のお金を何処でどの様に使うのか、選ぶ力を持っています。買うことで価値観を共有するビジネスを応援することもできます。何を何処で誰から買うのか、買うことによって意思表示ができます。買うという行為は一種の投票です。何処のどの商品が自分に一番あっているのかを選び意思表示できます。セブンイレブンでは賞味期限が近づいた、おにぎりやパンなどの対象商品に5%のボーナスポイントを付与する「エシカルプロジェクト」を2020年から全国で展開しています。政府も2015年から「倫理的消費調査研究会」を開催して環境に配慮したエシカル消費の普及に向けて幅広い調査や議論を重ね普及と啓発に努めています。 気候変動がもたらす様々な環境破壊は経済格差と貧困問題を引き起こしています。世界中で戦争と紛争が勃発して国を脱出せざるを得ない難民が世界で増え続けています。それにつれて人道問題や人権問題が世界の人々の関心の真ん中に戻ってきて、日々の自分の行動を強く意識するようになってきました。今の自分にできることは・・・。「エシカルな商品を買う」、「安くても児童労働や劣悪環境で製造された商品は買わない」「食べ残しを減らす」「マイバッグ・マイボトルを持参する」などです。買い物をするとき選択するポイントは「安さ」それとも「品質」、それだけではない環境そして倫理的な配慮された商品かどうかなど価値観が一致する商品を価値観が一致する売り手から安心して買う傾向が強まっているのです。調査会社のデータでは8割の人が自分の価値観に合うブランドの商品を買うようにしていると回答しています。「エシカル消費」による消費者の選択肢はドイツ・フランス・英国など世界中で広がっています。
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