更新情報
2022年1月 茶況_No.377
産地情報
令和4年1月17日
茶園は厳しい寒さに耐えながら新しい年を迎えました。今年のように寒さの厳しい年は、茶園の畝間に施された敷草が茶園を氷結から防止するなど大変効果を上げています。茶の木の休眠が深くて長いほど茶の木にとって活力を養う好条件になります。生産者は茶園を定期的に巡回して防寒・防風対策や乾燥対策に気を配ります。耕作放棄茶園があちこちで目立つようになり、茶の木を抜いてソーラーパネルを施工する茶園も多く見かけるようになりました。
産地問屋はアンテナを高くして情報収集に努め、得た情報を精査して新商品開発や新需要開拓に生かしています。従来の販売ルートや商品だけでは先細りは避けられませんので新商品開発と新需要開拓は必須課題となっています。日本茶業中央会は「お茶宣言2021」を策定しました。*新商品開発、日本茶カフェなど販売形態を工夫し国内外の需要の創出・拡大を図ります。*和食文化としての日本茶の需要拡大に努め日本茶ファンを増やしていきます。*全ての茶関係者が連携して日本茶文化の増進・普及に努めます。
以上、すべての茶関係者が力を合わせて行動することを宣言します。並行して県茶業会議所では女性の活躍をテーマにしたセミナーを開催しています。茶業界で働く女性の集まり「茶W」が中心となり、女性の視点を生かした新規ビジネス創出や新商品開発を企画しています。新しい発想を取り入れることで低迷している茶業界の発展につながればと期待しています。12月~1月の産地出荷は10%減位で推移していますが、産地問屋間の過不足を調整する荷動きはほとんど見られない静かな茶況が続いています。まん延防止措置や緊急事態宣言が出てからは、行動制限が強まり、地域経済の痛手となる状況が続きます。
消費地では贈答需要が終わり、家庭用茶の販売に努めています。感染が落ち着いた時期には、売上がコロナ前の8割程度まで回復しましたが、オミクロン株の急拡大と急激な寒さにより外出を控えるために、来店客数が減少してまた最悪の状態に逆戻りした感じです。加えて食料品等の物価上昇により、消費者の財布のヒモは益々固くなり家計消費を冷え込ませています。岸田首相は、温室効果ガス排出を実質ゼロにする政府目標の達成に向けて産業構造や経済社会や国民生活全体の大変革に取り組み、官民の投資を集めて成長のエンジンに転換すると表明しました。山際経済再生相は、国費や借金をしても社会全体、経済全体、生活雇用を守っていくと説明しました。政府は日本経済の回復に向けて経済活動の盛り返しに躍起です。
日本を取り巻く環境は予想できない事態が相次ぎ先行きが不透明なだけに経営者からは期待と不安が入り混じる声が聞かれます。そして各企業は抜本的なビジネスモデルの転換を急いでいます。「強いものが生き残るとは限らない。変化するものだけが生き残る」と変化に対応した改革を進めているお店や「昨日も今日も同じことを繰り返していたらお店は滅びる。明日のお客さまをどうお迎えするかを考える」とお客様目線で顧客の期待を超える利便性を考えて経営されているお店もあります。コロナ禍とデジタル化、人口減により、このままだと生き残ってはいけないという危機感が根底にあります。
上り坂 下り坂 まさか
コロナ禍が始まって2年余。この2年余の間に世の中は激変しました。世界中で誰も想像できないことが起きたのです。「まさか」です。デルタ株が、やや収束したと思いきや、次の新変異株「オミクロン株」の世界的な感染拡大により世界中でその対応に追われるようになりました。世界のどこかで燃えている限り、いつまた再燃するかわかりませんし、次々と変化する変異ウイルスにどう対処するのか、先の見えない戦いは続きます。
人生や会社の歴史は三つの坂があると言われています。上り坂、下り坂そして「まさか」です。勢いがあって最盛期に向かう上り坂、進むにつれて下っていく下り坂、そして予期せぬ事態の「まさか」です。思いもよらぬ事態が起こることが「まさか」ですが、好転の場合でも転落の場合でも使われます。感染終息のめどが立たない中で、日本は停滞が続くのか、豊かさを感じられる社会を再び作れるのか、将来を決める大事な転換点を迎えています。
これからは、ビジネスを考える上でデジタル化と地球環境問題と脱炭素化を抜きには考えられない三大潮流となっています。デジタル化では日本は世界と大きな差をつけられました。企業の「お値段」を示す株価の時価総額の上位10社の顔ぶれは米国巨大IT企業が8社を独占しています。1位アップルの時価総額は345兆円、2位マイクロソフトは265兆ですし、電気自動車のテスラも6位と急成長しています。日本トップのトヨタ自動車は29位(37兆円)、日本2位のソニーは92位(17兆円)と大きく差をつけられ、成長力が弱まり、日本は完全に世界の負け組に入りました。政治・産業界・国民の意識が新しいビジネスモデルを受け入れる土壌に乏しいとも指摘され、日本企業が復活するのは厳しいのではないかと世界は見ています。地球環境問題では今年のCOP26で気温上昇を1.5度に抑える目標に向かって世界が努力することが正式合意され、具体的な目標値を共有することで世界は大きくカジを切ったにもかかわらず、日本企業の取り組みは欧米企業と比べて大きな意識の差があります。
日本ではコスト高になってしまうが、仕方ないから取り組むといった雰囲気がありますが、欧米では環境対策への一連の動きを絶好の商機と捉えて積極的に取り組んでいます。今後の世界の環境投資は3千兆円とも言われています。消費者が環境に目を向け、商品・サービスの選択基準や消費行動が変化し消費者のパワーが商流を変えると読んでいます。消費行動が変われば、日本企業も行動規範を変えていかなければ明るい未来は見られません。脱炭素化は石炭火力の廃止が挙がりますが、石炭火力を廃止したら現在の日本では電力供給を維持できません。脱炭素化は国民一人一人に強い意識改革と負担を強いることになります。冷暖房のエネルギーを減らす、マイカーを電気自動車に、移動はできるだけ公共交通や徒歩・自転車で、仕事は移動を減らすテレワークで等、脱炭素化への意識改革と身近なことから取り組み実行する心構えが求められます。
現在、世界は百年に一度の大変革期を迎え「第四次産業革命」とも言われています。デジタル化の推進で産業構造に大きな変化を迎えるなか、コロナ禍のパンデミックという予期せぬ「まさか」の事態も起きました。従来のビジネスモデルはもはや通用せず多くの経営者、そして政治家は非常に難しい舵取りを迫られています。コロナ禍の2年余は、先の見えない不安に誰もがおののいた時間でもありました。これからの未来は、これまでの延長線上にはないかもしれません。できることからやる、やるべきことをやる、世界から必要とされる会社でありたい、「まさかの時代」こそ強力な指導力を持った危機・変革期のリーダーの登場が待ち望まれています。「まさか」に対応できる自社の立位置をもう一度見直して自社の未来を改めて創造する必要に迫られています。
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