更新情報
2022年8月 茶況_No.384
産地情報
令和4年7月29日
茶 況
一番茶後に台切りした茶園の台切り茶の製造が終了して、茶園では朝夕の涼しい時間帯に施肥や防除などの管理作業が続けられています。台切り茶の買い手はドリンク関係業者に限られますが、製造コストが値上がりしていますので収益確保が難しく製造しない工場も多々あります。JA経済連から一番茶と二番茶の推計が発表されました。2022年県内産一番茶は生産量前年比4%増と2年連続で増加、平均単価は前年比8%安と下落。茶価下落の原因として上級茶の売れ行きが鈍いために問屋が小口で買い付ける慎重な仕入に終始したためです。二番茶は生産量前年比15~20%減、平均単価は前年比20%安と発表されました。生産量減の要因は安値や需要の減少を見越して生産をやめた工場があったこと。単価安の要因は一番茶で下の価格まで生産された、ドリンク関連業者が慎重な仕入に終始した、などがあげられます。肥料・重油・電気などのコスト高騰が続き茶農家の経営は、ますます厳しさを増していますので、今後も生産は増えないとの推測も出始めました。安い、これでは経営できないとの話題ばかりです。
産地問屋は夏休み前の仕上・発送作業を進めていますが猛暑の影響から売上が前年を下回ることは確実です。既存の販売ルート以外に販路拡大するためのツールを模索します。インスタグラムで発信、カフェを併設してスイーツやかき氷の紹介、健康茶やブレンドティーの新商品開発、できることは全てやる体制です。売上が減少し経費削減が追い付かないと経営は厳しさを増します。無利息のコロナ対策資金の返済が始まり金融機関の支援に助けられています。
消費地では「中元商戦」が終わり「帰省土産」などの手土産需要に商品陳列を変えました。コロナ感染再拡大と連日の猛暑で日中は商店街の人通りもまばらですが、涼しくなる夕方から活気を取り戻します。売れない、売れないとぼやいていても解決策にならないと販売戦略を練ってできることから実践しているお店もあります。ティーバッグ需要は増えていますので家庭用のティーバッグ商品の充実を図ったり、水出し煎茶TBをフィルター付ボトルに入れて冷蔵庫で冷やしていつでも冷茶が飲めるように薦めたり、ペットボトルでなくマイボトルにお茶を入れて持ち歩く新しいスタイルをアピールしたり、喫茶を併設して美味しい入れ方や対面販売を重視するなど、さまざまな対応策を実行します。課題解決のための取り組みですが地域によって、立地によって課題は異なりますので解決策もひとつではありません。しかし、お茶の魅力発信につなげたいという思いはひとつです。
コロナ禍で世界経済は戦後最悪の落ち込みを経験しました。原材料髙、エネルギー髙、円安・コロナ再拡大も加わり、この先の景気後退を懸念する声も数多く聞かれます。物価上昇の中での景気後退という難しい状況の中、安易な対応は危機を招きます。お店の付加価値を高め、競合店との差別化を進め、販売手法の質を高める。「言うは易く行うは難し」です。何かやろうと行動することは大変なことだと思うこの頃です。
水出し煎茶が売れてます。
水出し煎茶(ティーバッグ) 80g(5gx16) 卸価格450円 30袋入
マクロンする
北大西洋条約機構NATOは長期的な行動指針を改定し、一時は「戦略的パートナー」と位置付けていたロシアを「最大かつ直接の脅威」と見なす方針に転換しました。ロシアがウクライナに侵攻して5ヶ月がたちますが、戦闘は治まる気配を見せずウクライナ東部2州にとどまらず南部や南東部など周辺地域にまで拡大しています。ロシアは「特別軍事作戦」と理由付けしますが、武力を使って他国の領土に攻め入り、力による一方的な現状変更行為は、あきらかに「戦争」です。国連加盟国が一致して侵略をやめさせる義務がありますが機能していません。国連の存在意義が問われても仕方ない危機です。ロシアを支持する国があるからなおさら厄介です。中国・北朝鮮・イラン・トルコ・シリア・ミャンマーなど反アメリカ諸国です。世界は77年前の冷戦時代に戻り、アジア太平洋地域でも何が起こってもおかしくない状況です。
ウクライナ語に最近加わった「マクロンする」という単語があります。フランス大統領のマクロン氏の名前を動詞として使っています。意味は「心配するけれど何も行動しない」という意味で使われています。マクロン氏は決して何もしないわけではなく、ウクライナを支援すると繰り返しています。侵攻以来プーチン大統領と十数回の会談を重ね停戦を促し、ウクライナに兵器の提供もしてきました。それでもウクライナ国民の失望を招くのは「ロシアとウクライナは兄弟の国民」と述べたり「両国は侮辱しあってはならない」など立位置のハッキリしない発言が目立つからです。多くのウクライナ市民が犠牲になっているだけにフランスはウクライナ国民に最も嫌われている同盟国とみなされるようになりました。フランス国内でも支持離れが進み6月の国民議会選挙では与党連合が100議席減らし過半数を下回る結果となりました。議会少数派の内閣が発足し極めて困難な政権運営を強いられています。
現在の茶業界は「売れない売れない」「安い安い」の話題ばかりです。ペットボトル茶が主流となりリーフ茶需要が減り続けているからです。昔は各家庭のテーブルには、いつでも温かいお茶が飲めるように魔法瓶と急須と茶筒が用意されていました。今は瞬間に沸かす電気ケトルや電子レンジを使って好みのティーバッグを個々に飲むライフスタイルが多くなりました。ライフスタイルが変われば消費スタイルも変わります。会社で10時3時のお茶の習慣はなくなり給茶器か自動販売機のお茶を個々に飲みますので「会社納品茶」もなくなりました。食堂では、お茶から水を出すお店が多くなり「業務用茶」もなくなりました。仏事の「返礼品茶」も見かけなくなりました。
しかし、売れない売れないと言ってお客様を待っていても解決策にはなりません。顧客が何を求めているのか、顧客の要望に応え続けなければ顧客満足は得られません。商品・陳列・接客・演出などお店の向く方向が自己満足にならないように常に顧客目線が大切です。
今年の新茶商戦で静岡呉服町名店街が開いた新茶PRイベントが話題になりました。県茶商組合のブースが2日間の計8時間で1袋500円のお茶を2千袋売上ました。日本茶インストラクターが店頭に立ち17産地の茶の特長を紹介しながら美味しい入れ方を説明する顧客目線の対面販売によりワンコインのお茶が次々と売れました。組合の担当者は「売れないとばかり言っても仕方ない。できることは全てやる」と強調します。 「マクロンする」心配するけど何も行動しないでは、問題は解決しません。打つ手はすべて打つ。本気で挑めば必ずチャンスは巡ってきます。
- アーカイブ
-
- 2024年11月 (3)
- 2024年10月 (10)
- 2024年9月 (17)
- 2024年8月 (19)
- 2024年6月 (1)
- 2024年5月 (1)
- 2024年4月 (1)
- 2024年3月 (2)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (1)
- 2023年11月 (1)
- 2023年10月 (1)
- 2023年8月 (4)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (3)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (3)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (3)
- 2022年12月 (6)
- 2022年11月 (4)
- 2022年10月 (5)
- 2022年9月 (4)
- 2022年8月 (3)
- 2022年7月 (6)
- 2022年6月 (1)
- 2022年5月 (1)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (1)
- 2022年2月 (1)
- 2022年1月 (1)