更新情報
2022年9月 茶況_No.385
産地情報
令和4年9月22日
茶 況
茶園では日中の炎天下を避けて朝夕を中心に秋肥や防除など秋の茶園管理が進められています。秋肥は来年の一番茶の幼芽形成に重要な作業となりますので、茶園の土壌を診断して効率の良い施肥や経費削減を実施しています。9月末から始まる秋冬番茶はドリンク関連業者とスーパー納品業者に限られた商いになりますが、秋の摘採時期と摘採位置が、来年一番茶の摘採時期に大きく影響しますので慎重な対応が求められます。秋冬番茶の需要は堅調予想ですが重油や電気・肥料高騰による生産コストの増大で生産量は膨らまないとみられています。減産予想ながら相場は例年の350円前後と大きくは動かないと予想されます。第76回全国品評会「深蒸し煎茶の部」において東山の山東茶業組合が農林水産大臣賞を受賞しました。掛川市も「産地賞」を受賞し3年連続、通算24回目の受賞となりました。茶草場農法などの徹底した茶園管理の結果であり、生産者の日頃の努力には頭が下がります。
産地問屋は秋の需要期に向けて「口切り新茶」などの準備をすすめていますが、問屋間の取引は粉茶・棒茶といった出物以外の荷動きはなく静かです。県は静岡茶の需要創出に公募したアイデア10件を新たに採択しました。酒造会社と連携した新商品開発や茶のフリーズドライ技術導入、有機抹茶の輸出拡大などの事業に助成します。事業には異業種が参画し、販路開拓や商品開発に取り組みます。緑茶の海外販路開拓は好調です。2022年1月~6月の緑茶輸出量は前年同期比6%増の3202t、金額は7%増の103億円と過去最高を更新しました。健康食品やカフェ店などで使われる粉末状のものが輸出全体の7割を占めています。国際情勢悪化は不安材料ですが、円安が追い風となっています。輸出ではなく現地生産で成功している静岡市の茶問屋もあります。タイ北部のチェンライ県で地元企業と合併で茶畑と製茶工場を経営していますがフル稼働の状態です。モロッコに加工場を新しく設備して欧州や中東での販売も順調で着実に販売先を増やしています。日本の緑茶市場はピークの2004年に比べて4割減ですが、世界の茶市場は緑茶・紅茶を含めて日本の100倍の規模があり年々拡大しています。緑茶は世界ではマイナーな飲み物ですが海外生産を通じて浸透を図ります。 消費地では、秋の売り出しの準備を進めながら年末の「歳暮商戦」も視野に販売計画を練っています。天候不順や台風による突然の大雨や残暑の影響で前年比マイナスは致し方ないところですが、秋需に期待して「ピカピカ活動」を実践しているお店もあります。お店と売り場をピカピカ、商品と商品棚をピカピカ、接客とサービスもピカピカにする活動です。「〇〇さん、いらしゃいませ」「〇〇さん、お気を付けて」顧客対応も呼称で呼ぶピカピカ活動です。コロナの感染再拡大や原材料・エネルギーの高騰や急速な円安進行を受けて景気回復に慎重な見方が広がっています。値上げラッシュにより消費者の財布のヒモは、ますます絞まり売上の減少は避けられない状況です。小売店は十分な価格転嫁が出来ず、収益を確保できないまま廃業するケースも増えています。金融機関の支援と収益体質の強化に向けた長期戦略が一層求められ厳しい経営は続きます。
フィロソフィー 経営哲学
稲森和夫氏が永眠しました。独自の経営哲学で多くの人を引付け松下幸之助と並び「経営の神様」と言われ多くの人に慕われました。中小企業の若手経営者が稲森氏に教えを請いたいと立ち上げた「盛和塾」は、国内だけでなく中国など海外にも広がり中国の塾生は1万4千人以上に上ります。
鹿児島市出身、27歳で京セラを創業し売上高1兆円超の世界的企業に育て上げました。電気通信事業が自由化されると現KDDIを旗揚げして、電話料金引き下げや、携帯電話の普及に努めました。2010年には政府の強い要請で、経営危機に陥った日本航空の再建の指揮を執り、京セラの経営手法「アメーバ経営」を導入し、2年8ヶ月で再上場を果たしました。「人間として何が正しいか」を基本軸に据えた経営哲学は多くの経営者に影響を与えました。経営思想の根底にある考え方「フィロソフィー(哲学)」は盛和塾の塾生に広く浸透し経営者の道しるべとなっています。その主なものを紹介します。 「人間として何が正しいのか」を判断基準にする。判断が必要なときにすぐ出てくるのは損得だが善悪の基準でもう一度問い直す。子供の頃に両親や学校の先生から教えてもらった「やっていいこと、悪いこと」という基本的な倫理観です。「誰にも負けない努力をする」一生懸命努力するだけでは不十分で、どんな人にも負けない努力という意味で「誰にも」という言葉が冒頭についています。「全従業員の物心両面の幸福を追求する」従業員の家族の生活を守り、皆んなの幸福を目指していくことが会社グローザスの長期的な発展には不可欠。「大胆さと細心さを併せ持つ」常に大胆であっても細心であっても小心であってもいけません。小心者が場数を踏むことで自分を鍛え、人間性を高め、真の経営者に成長していくのです。「新しいことに挑戦し、常に創造的な仕事をする」現状に甘んずるということは、すでに退歩が始まっていると認識すべきです。経営者が変化を恐れ、挑戦するマインドを失ってしまっては、やがて衰退の道を歩み始めることになります。「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」やれると信じることができなければ挑戦しようという気にもなりません。「これはできる、これはやれる」と楽観的に構想を練り、実際にそれを計画に移していくときには、構想段階で簡単に考えたことをもっと悲観的に、そして綿密かつ緻密に問題点をすべて洗い出し、シュミレーションを繰り返した後、実行段階では楽観的に計画を推進します。「謙虚にして、おごらず、さらに努力を」人間というのは、うまくいけばいくほど、どうしても放漫になり同時に慢心して「このぐらいはいいだろう」と気持ちが緩み、安楽さを求めた結果、失敗していくのです。フィロソフィーの実践を通じて、経営者が心を高め、従業員から尊敬されるような人格を備えることが大切です。「仕事・人生の結果=能力×熱意×考え方」能力は先天的なものですが「熱意」は自分の心の持ち方によって変えられるものです。「考え方」がプラス思考かマイナス思考かが重要です。能力と熱意がいくら高くても考え方がマイナスであれば、掛算の答えはマイナスになります。プラスの結果を出すためには心のあり方を学ばなければいけません。 稲森さんは、活力を失い低迷する日本経済を憂いていました。「今の日本人はぬるま湯につかり安逸をむさぼっている。やろうと思えば何でもできるのに気力がない」猛烈に働き、反骨精神で新しいことに挑み続け、火の玉のように90年の生涯を燃え尽くした人生でした。
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