更新情報
2023年4月 茶況_No.391
産地情報
令和5年4月11日
茶 況
新茶摘採を間近に控えた茶園では、新芽の生育状況を見ながら新茶摘採に向けた準備を進めています。1月からの適度な降水量と3月下旬からの気温の上昇が生育に好影響を与え茶園はもえぎ色に色付き始め生育は順調です。これから生育状況を見ながら摘採計画を立てていきますが、寒の戻りによる遅霜対策も欠かせませんので、気象情報には細心の注意を払います。後継者問題と、ここ数年の相場安から茶の将来に不安を感じて廃業する生産者も増えています。静岡県では農地バンクを事務局に、規模拡大に意欲的な生産者に廃棄園の活用を進めていますが、ニーズに即した農地提供ができていないのが現状です。国の試算では10~20年後には農業従事者が 1/4に減ると試算しています。これからは機械の再点検や工場清掃をこなしながら新茶操業に入ります。
産地問屋は出荷作業を進めながら、新茶受入の冷蔵庫の整理と機械整備と工場清掃を進めています。そして、生産者と消費地との情報交換を進めながら仕入計画と販売計画を練っています。生産者の経営安定のためにも値崩れを防ぎたいとの県内問屋の思いはひとつですが、産地在庫に荷もたれ感があり、急須で入れる上級茶需要の低迷から今期も慎重な仕入姿勢が予想されます。県茶商組合の長瀬新理事長は「生産者と茶商、行政の三者一体で業界への取り組みをする」と抱負をのべました。高齢化と後継者不足と廃棄茶園は深刻な問題となっています。これからさらにこの難局が続くと想定され茶業界を取り巻く環境は想像以上に厳しくなると思われます。今年の新茶は県内一斉のスタートとなりますので、荷口も膨らみ選択買いの傾向が一層強まると予想されますので品質重視の生産計画が重要です。
消費地では、予約新茶の受注と新茶セールの準備を進めています。予約新茶はお客様の高齢化による来店客数の減少から受注数量は年々減少傾向にあります。厳しい状況の中、わざわざ来店していただくお客様のために接客サービスと顧客満足など、売り場づくりを徹底的に考え誠実に対応することが不可欠です。
セブン&アイHDは売上高前年比35%増の11兆8千億円と日本の小売業で初めて11兆円を超えました。買収した海外コンビニが好調での結果です。セブン&アイHDのコンビニ部門は好調ですがスーパー部門の不調から「イトーヨーカドー」の店舗を今後3年間で32店舗閉店すると発表しました。そして衣料品事業から撤退して食品事業に集中する大改革を実行します。時代の変化に伴いネット通販や低価格店が台頭し、立て直しが必要と判断したからです。昔の栄光にしがみついていても時代は急激に変化しているので、時代に取り残され破綻につながらないための大改革を実施します。
生産者の皆様へ
1・掛川茶市場の初取引は4月15日(土)に決定しました。
2・機械整備時の油臭、工場清掃時の異物混入には細心の注意をお願いします。
ポスト資本主義
フィンランドがNATO(北大西洋条約機構)に加盟してNATO加盟国は31カ国になりました。当初は12カ国でしたが、旧ソ連の支配下にあった国々がロシアの脅威から逃れるために次々とNATOに加盟して現在の加盟国は31カ国です。もしNATOの加盟国が武力攻撃を受けた場合には、全加盟国への攻撃とみなして共同で立ち向かう集団的自衛権を行使します。その根底には自由と平和と民主主義を守るという加盟国の同じ価値観があります。フィンランド大統領は「軍事的中立の時代は終わった。新しい時代の始まりだ」と強調しましたが、プーチン大統領は「対抗措置を取らざるを得ない」と強く反発しています。正気ではない指導者プーチンが起こした戦争は泥沼化して治まる気配を見せません。プーチンは昔強かったソ連時代に固執し、世界は77年前の冷戦時代に戻ってしまいました。資本主義対社会主義の対立、民主主義対権威主義の対立、西側諸国対東側諸国の対立、米欧対ロシア・中国、反米対親米などの77年前の世界の分断です。資本主義対社会主義、民主主義対権威主義の他にも世界は歴史・人種・宗教が複雑に絡み合い紛争が各地域で起こり惨状と絶望にあふれています。
1780年頃に英国で「産業革命」が起きて新しい技術の基礎となり科学技術へと発展して産業革命が約100年間続きました。その後の「生産革命」は第二次世界大戦終了時までの約70年間続きました。大戦終了後から新しい知識・知恵を活用して成果を生む「マネジメント革命」は現在まで続いています。資本主義は知識・知恵のある者が優位に立つのが普通の世界です。世界上位1%の超富裕層の資産は世界全体の38%を占めます。上位10%では世界全体の76%を占めています。下位の50%の資産は世界全体の2%に過ぎません。世界の一部の資産家が富を独占し貧富の格差拡大を生んでいますので、そのことがテロや犯罪を引き起こしています。資本主義の世界では収入がなければ誰も相手にしてくれません。資本主義の成立とともに富の蓄積こそが成功のあかしとされ、経済活動や工業生産が巨大化した結果「無限」を求める価値観が世界を支配するようになりましたが、資源・環境・エネルギーなど「有限」であることに気付かされました。
国連はSDGs(持続可能な開発目標)を掲げ、貧困をなくす、飢餓をなくす、質の高い教育を促進する、エネルギーをクリーンにする、国家間の格差を是正する、海と陸の豊かさを守るなど「無限」の追求から「有限」の回帰に転換することが不可欠であると、2030年を達成年限とした国際社会共通の17の目標を決めました。そして、大量生産・大量消費・大量廃棄の経済モデルの見直しを勧めています。「無限」の拡大を前提とする社会システムから「有限」を前提とした社会システムへ、世界が「有限」という前提に立った場合、今までの利潤のみを追求する資本主義のあり方も見直さざるを得ません。
資本主義の行き詰まりを感じて岸田政権は富の再分配と格差解消を掲げる「新しい資本主義」を提唱しました。この動きは日本だけではありません。世界各国で同時進行的に貧富の格差是正や「ポスト資本主義」が主要テーマとなっています。
資本主義国家が直面している共通の構造的な問題を背景に過去のすべてを一度リセットする「グレート・リセット」により大幅な見直しをしてまったく新しい仕組みを作り上げることが世界的な流れです。そして、ビジネスも大幅な見直しを迫られ新たなビジネスモデルと、新たなサービスを構築する必要に迫られています。変化し続けなければ企業は消えていくしかありません。「ポスト資本主義」転換後の社会には、どんな社会が待っているのでしょうか。
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