更新情報
2023年6月 茶況_No.393
産地情報
令和5年6月30日
茶 況
茶園では、二番茶の生産を終えた生産者が茶園の管理作業を進めています。今年の二番茶は芽伸びが進まないまま刈り取りが進み、雨による摘採中断も多く盛期と呼べる時期がありませんでした。二番茶摘採は通常は一番茶摘採後45日以内に摘採するのが鉄則ですが、今年は雨の日が多く計画通りに摘採が進まなかったことから、一番茶摘採後50日を超えて摘採する茶園もありました。芽伸びが進まなかった原因には夜温が低くかったこと、雨が多くて地温が上がらなかったこと、肥料価格高騰による肥料不足があげられています。一番茶に続き二番茶も10%前後の減産と予想されます。価格は昨年並みですが、数量減、生産コスト高から生産者の厳しい状況は続きます。一番茶、二番茶ともに弱相場で、先行きが暗くて見通せない不安から廃業を決める生産者も多く放棄茶園があちこちで目立つようになってきました。
産地問屋は仕入が終了した二番茶の整理・仕上・発送作業を進めています。6/5から始まった二番茶の仕入が6/21の入荷を持って終了しましたが、雨の日が多く天候に振り回された二番茶でした。二番茶の需要は量販店(スーパー)、ドリンク原料、会社納品、業務販売に限られていますが、ペットボトルの自動販売機が設置されたり、食堂・レストランでお茶が出されることがなくなり、会社納品と業務販売はほとんどなくなりました。量販店原料も一番茶価格が下がり一番茶原料で間に合うようになりましたので二番茶の必要性が弱くなりました。ドリンク原料の確保だけで相場が支えられている感じです。ドリンク関連の買い支えがあるおかげで相場が底堅いといった声も聞かれます。取引安定のためにドリンク関連業者と専属契約を結ぶ生産者も出始めました。ドリンク関連に販売先のある産地問屋は、積極的に仕入しますが、県内9割の問屋は仕入しても売るところがないといった状況で必要量しか買わない慎重な仕入に終始しました。以前の半分の仕入量でも繰り越し在庫になる懸念が残るといった声も聞かれます。
消費地では「中元商戦」に入り「水出し煎茶」の販売に力を入れます。フィルター付ボトルに入れて冷蔵庫で冷やせば、いつでも冷たくておいしいお茶が飲めますのでお薦めです。「マイボトル」も環境にやさしいとお薦めしています。家庭でも2ℓのペットボトル緑茶が普及したことから市場環境は大きく変化しました。店頭で「水出し煎茶」の方が2ℓペットボトルより簡単・安い・美味・SDGsですよ、を熱心に訴追していきます。静岡県が実施した2019年~2021年県内農業者アンケート調査では、60~70代以上では後継農業者が不在と答えた農業者が多く、10~20年後には1/4に減ることが分かりました。近年、減少の速度は、ますます高まり県一丸で取り組む必要があるとの認識を強くしましたが、農業で生活できる基盤が整わないと後継者も育たないのが現状です。
水出し煎茶が売れてます。
水出し煎茶(ティーバッグ) 80g(5gx16) 卸価格450円 30袋入
*「水出し煎茶」の原料は水出し専用の茶葉を使用して製造しています。抹茶入り
* HARIOの「フィルターボトル」とセットで中元商品に最適です。
2025年問題
2024年4月から自動車運転業務における残業時間が制限されることから、運送業界の深刻な運転手不足が予想され、荷物が運べない事態に陥る恐れがあることが「2024年問題」としてさまざまなところで議論され話題となりました。
今話題になっている「2025年問題」とは、超高齢化社会が訪れることで生じるさまざまな影響のことを言います。2025年に団塊の世代800万人全員が75歳以上の後期高齢者となります。団塊の世代は第1次ベビーブームの1947年~1949年に生まれた世代を示し、さまざまな分野で日本の成長を索引し、日本の社会や経済にさまざまな影響を与えてきました。学生時代は大学紛争に係わり、社会人になってからは日本の高度経済成長時代を支え、消費市場では「ニューファミリー」として新しい価値観を持った消費者として市場を牽引してきました。2025年に、この世代が75歳以上迎えることで後期高齢者の人口が2180万人に達し総人口の18%を占めるようになります。4人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎えるのです。「団塊の世代」とは作家の堺屋太一さんが名付けた言葉ですが、老後を迎えた彼らが今後どんな影響を社会にもたらすのでしょうか。もはや夢としか思えないバブル時代の過去を引きずり、昔話と自慢話が彼らの生きがいです。彼らに必要なのは「教育と教養」ではなくて、「今日行」と「今日用」です。今日行くところと今日の用事をつくることが、彼らの生きる励みになっています。日本の人口の年齢別比率が超高齢社会となり、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、さまざまな分野に影響を与えることが予想されます。2025年までに中小企業の経営者245万人が70歳を超えますが、半分の経営者は後継者が決まっていません。今後はM&Aのニーズが増大する可能性があります。そして、高齢者が増えるということは医療費や介護費が増大して、それに伴う現役世代の負担増は想像以上です。2018年医療給付費約39兆円に対して2025年は約48兆円と1.2倍に膨れ上がるからです。社会保障を受ける人口が増え、負担する側の人口が減っていることから現役世代の負担する社会保険料は負担できないほど増大します。そして、ますます深刻化するのが人材不足です。若い働き手が減って最も不足するのは「サービス」「医療・福祉」次いで「小売・卸売」「製造業」と言われています。
確実にやってくる「2025年問題」は雇用や医療など、さまざまな分野へ多大な影響を及ぼしますが対応すべきポイントはいくつかあります。
① 公的支援を活用して事業承継を進める。
② 女性・シニア・外国人の雇用を増やして人材不足を解決する。居心地の良い働きやすい 職場環境をつくり永年勤続ができるようにする。
③ 生産性を向上させるために省力化する。テクノロジーを活用して業務を効率化することにより少人数で業務の遂行を可能にする。
④ 人口が減少することにより売れる物の数が減り、高齢化することにより売り方、売れる物も変わります。土地や家屋も需要が減り影響が出るでしょうし、パチンコ・ゴルフ場・百貨店も厳しい対応を迫られるでしょう。超高齢化社会が来ることは自明の理。縮小社会に向けて早目に次の一手を考えることも必要です。
「2025年問題」は必ず訪れるもので、決して避けて通ることはできません。しかし、適切に対応すればダメージを最小限に止めることは可能ではないでしょうか。
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