更新情報
2024年9月 茶況_No.406
産地情報
令和6年9月20日
茶 況
茶園では茶農家の人達が日中の暑さを避けて朝夕を中心に茶園の管理を進めています。
9月末から秋冬番茶の製造が始まりますが夏の猛暑の影響から芽伸びが悪く減産になると予想されます。仕入する問屋はドリンク原料とティーバッグ原料を必要とする問屋に限られますので県内2割位の問屋になります。重油や電気など生産コストの増大で注文がなければ生産を見合わせる工場もあります。これから来年の一番茶の幼芽形成に必要な秋肥料の準備もしていきます。第78回全国茶品評会「深蒸し煎茶の部」で掛川市東山の「菱東・東山茶業組合」が最高位である「農林水産大臣賞」を受賞しました。また、掛川市からの出品茶が多数上位入賞を果たしましたので掛川市が全国最多通算26回目の「産地賞」を受賞しました。美味しいお茶を作る基本は茶畑の土づくりです。茶畑が必要としている土づくりに汗を流すことが大切です。冬には山の斜面の山草を刈って乾燥させてから裁断して茶畑の畝間に敷く「茶草場農法」など日々の地道な努力が報われた結果です。頭がさがります。
農家の高齢化や茶価の低迷により耕作放棄地を各地域で見かけるようになりました。その放棄茶園を利用してブドウやイチゴやレモンの観光農園に再生するプロジェクトチームを立ち上げた地区もあります。また、企業が農業に参入してキュウリを水耕栽培する試験を始めた企業もあります。流れる水の温度や肥料や気温をキュウリの生育に最も合うように調整することで、土に植えれば収穫まで40日程度かかる日数を20日程度で収穫できるようにします。また、最先端の栽培技術を駆使したスマート農業を導入してパプリカを生産する企業もあります。先日の「令和の米騒動」がニュースで流れましたが、食料の国内生産を課題に企業の農業参入も目立ってきました。お茶の生産者はお茶以外にイチゴ・レタス・栗など複合作物を栽培して収入維持を計ったり、海外から需要が高い有機茶や碾茶に転換する生産者もいます。いずれも今までと同じ茶業経営を続けていては生き残れないという危機感からです。
産茶問屋は秋需要に向けた販売計画を進めるとともに9月末から始まる秋冬番茶の必要数量について生産者と打ち合わせをしています。売り先が決まっていないお茶は製造しない受注生産になってきましたので必要な数量を生産者に伝えて数量確保に努めます。リーフ茶需要の減少、贈答需要の減少、若い人の購買先の変化、等による売上減少から廃業を決断する得意先が増えていますので得意先の減少による売上減をどこでカバーしていくのかが産地問屋の課題です。消費の流れがハッキリと変化していますので、対策を色々と講じてはいますが妙案は見つかりません。 消費地では「フィルターインボトル」と「水出し緑茶TB」を手軽に、美味しく、リーズナブルに飲める飲料としてお薦めします。冷蔵庫からボトルを出して飲む緑茶は年間の需要になって来ていますので手応えを感じます。今年は異常な猛暑日が続いたために商店街に人通りが少なく来店客数も減少しています。そのため売上減により資金繰りも厳しくなります。現状打破のアクションを起こしたくても、その余裕のない現実に不安ばかりが募りますが、これからも「地域に必要とされるお店」を目指して頑張ります。
1 本足打法
日本経済の現在を客観的に確認することは重要です。なぜなら日本の未来図は、このままではかなり悲惨なことになりかねないからです。
「日本は輸出立国」と学校で習った時代は遠い昔の話で、既に貿易収支は赤字基調です。
ついに電気機器までが赤字となり「自動車の1本足打法」になってしまいました。その自動車の競争力維持も電動化や自動運転化の遅れによりリスクを抱えています。そしてもうひとつの大きな問題が「デジタル赤字」です。日本がデジタル化を進めれば進めるほど赤字が膨れ上がる構造になっています。政府もエネルギー分野の赤字は解決策を思いつくが、デジタル赤字の拡大は解決策がない、とお手上げの状態です。企業の海外での稼ぎは増えていますが、その稼ぎは海外で再投資されて日本に戻って来ません。海外での稼ぎが国内での賃金上昇や設備投資に生かされていないのが現実です。外国から日本への直接投資は世界最低レベルが続き、外国企業も外国人投資家も日本に投資しようとしません。
その理由として外国の投資家からは①低成長・低金利・低配当のところには投資の魅力がない②英語環境が整っていないので生活できない、とのことです。日本への投資残高は国際的に見て著しく低い水準にあります。OECD(先進国38カ国が加盟)の中最下位の38位で37位の韓国の半分以下です。国連貿易開発会議の統計でも日本は198カ国中196位です。何故こんなに下位で人気がないのか?①成長性・収益性で見た日本の事業環境が見劣りする②グローバル人材の不足③英語で事業を行える環境が整備されていない、といった要因を指摘されます。
バブル崩壊後の30年は雇用や企業を守ることに主眼を置いた支援策が長らく実施され社会を安定化させる効果はありましたが、人や金が生産性の低い企業や分野に張り付いてしまい停滞を招きました。ゼロ・超低金利でないと生きていけない、諸外国並みの賃金も払えない、法人税も納められない企業が増えて、当たり前の競争、当たり前の資本主義が機能しなくなりました。普通は市場が新陳代謝を促し成長して賃金もたくさん払える企業の創業や発展を支えるのですが、過度の保護が市場経済のメカニズムを破壊しゾンビ企業ばかりが増えてしまいました。
日本の貿易収支は4年連続の赤字ですが赤字幅は縮小しています。かっては黒字の稼ぎ頭であった電気機器(家電・スマホ)は輸入超過となり見る影もありません。代わりに頑張っているのはインバウンド消費、訪日観光客の使うお金7兆円とアニメ・漫画関連の輸出3兆円ですが、日本は総じて自動車に依存しています。逆に言えば自動車しかない「1本足打法」です。仮に電動化や自動運転化の遅れにより自動車の国際競争力に揺らぎが生じた場合には貿易収支の一層の悪化は避けられません。
今や日本のGDPは中国の1/3以下、昨年ドイツに抜かれ、来年にはインドにも抜かれて世界5位になる見通しです。これから日本では少子高齢化が益々進展していきますので①労動生産性を高めて1人当たりの付加価値を上げること②企業間競争を活性化させて新陳代謝を促し成長分野への労働移動を円滑化する、ことが重要です。市場経済のダイナミズムを強化して改革を進めれば競争力のある日本復活は可能です。日本は昔から国内で切磋琢磨しつつ海外から新しいものを貧欲に吸収して素晴らしい独自文化を育ててきました。
先進国で母国語しか通用しない国は日本だけです。英語で事業を行える環境を整えるために日本語・英語の二か国語が生活に浸透するように教育環境の見直しは必要ですし、「1本足打法」では限界がありますので自動車に対峙できる稼ぎ手の育成も必須です。
1本足打法から世界で活躍する大谷選手のように「打って走って」マルチな能力の転換が日本のこれからの課題ではないでしょうか。
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