更新情報
2025年8月 茶況_No.417
産地情報
令和7年8月22日
茶 況
生産農家の方は朝夕の涼しい時間帯に防除や灌水などの管理作業を進めています。茶の木の葉面に付着した水分が太陽に熱せられて高温となり葉に負担を強いることにもなりますので潅水も日中の暑い時間帯を避けて夕方からの作業になります。県内の茶生産は一番茶・二番茶・秋冬番茶の3回ありますが、今年の最終生産となる9月末から始まる秋冬番茶の生産計画を練っています。今年の二番茶は価格が昨年の2倍に急騰しましたが、その流れを受けて秋冬番茶もドリンクメーカーが数量確保に動きますので高価格が予想されます。昨年は製造を中止した工場も今年は稼働する、あるいは生葉販売を視野に進めています。農水省は2025年の一番茶生産量は1位鹿児島8440t(±0)、2位静岡8120t(18%減)、3位三重1940t(8%減)4位京都1070t(19%減)、5位埼玉460t(2%減)と発表しました。静岡県の茶園面積は昨年の安値が離農者続出に歯止めがかからずに前年比1100ha減の10500haに落ち込みました。県のお茶振興課は「今まさに静岡茶業の転換期。海外展開を見据え、改植支援や出口戦略など官民一体で再興の道筋を作っていきたい」と説明します。鹿児島の生産者は需要の変化に敏感で切り替えが早い。収益を確保できる生産体制が整い、静岡は出遅れた。静岡に追い付け追い越せでやってきた鹿児島に今こそ学ぶべきだと話します。静岡では栽培面積の約9割が「やぶきた」ですが碾茶や有機茶やペットボトル原料に向いた品種に変える動きも出ています。「つゆひかり」の導入や「しずゆたか」は収量が多く病害に強いためペットボトル原料向けに導入を進める生産者もいます。生産農家が一部茶園を碾茶向けに転換したために、その反動で煎茶が品薄となり一番茶の価格は前年の1.2倍でした。二番茶はペットボトル原料として引き合いが強まり価格は前年の2倍です。消費の主流となっているペットボトル原料と国内外で広がる「抹茶ブーム」に対応できない産地問屋の廃業が増加しています。昨年までは「もう茶業ではやっていけない」と多くの生産農家が離農しましたが、今年は「価格が上がり過ぎて商売は成り立たない」廃業を選択する産地問屋や「急須でお茶を飲む習慣が薄れ経営が厳しい」と閉店を決める消費地小売店が増えています。県茶商組合理事長の長瀬氏は「変化する需要への対応力の違いが業者間の格差につながる懸念は抱いていたが、これほど急激に進むのは想定外」と組合員が減り続ける現状を危惧します。消費地では冷茶接待を続け冷して飲むマイボトル茶の美味しさをアピールします。お客さまのために今日は何をして、明日のお客さまをどうお迎えするか、お客さまの要望を見失なわないように努力します。家計調査によりますとリーフ茶の一世帯購入量は315g(5.7%減)支出金額は1684円(0.5%増)、一方ペットボトル緑茶の支出金額は4162円(5.4%増)と家庭でもペットボトル緑茶を飲む傾向が強くなっているようです。「Matcha」ブームの過熱が止まりません。抹茶が世界に広まったのはスターバックスがメニューに取り入れたことがきっかけとされていますが、ブームのきっかけは訪日客が購入した抹茶をSNSで抹茶からラテを作る動画の発信がバズってからのようです。京都では抹茶コーナーに「SOLDOUT」売り切れ、あるいは「1人1缶まで」の注意書きが目立ちます。急激なブームにより「長年の顧客に抹茶が行き渡らなくなるのでは」と心配する人もいます。また、値上げにより抹茶が高級品となって消費者が離れることを懸念する人もいます。一方で急須でお茶を飲む習慣の衰退から煎茶の需要は低迷しています。京都の小売店でも抹茶は「1人1缶まで」なのに煎茶商品は豊富に並び「売るほどある煎茶も味わってほしい」と苦笑します。生産農家・産地問屋・消費地小売店ともに経営環境は厳しさを増しており金融機関は今までの資金繰り一辺倒から経営支援や事業承継など取引先のニーズに寄り添った支援策を強化しています。
テックライト(テック右派)
参議員選挙では、与党が過半数を割り込む大敗を喫し、国民民主党や参政党が急伸しました。今回の選挙選で有権者は何を求め、どのような判断を下したのでしょうか。参政党の躍進は単なる一過性の現象ではなく日本政治の転換点となる可能性を秘めています。日本に限らず世界中が転換点を迎え、新たな理念を示す必要に迫られています。世界中で広がりつつあるこの潮流は排外主義や差別的な主張を伴い、法の支配や人権など民主主義を支える基盤を攻撃します。民衆の意思を政治に反映させることこそが正義であるという世界観です。昔から「ロビンフッド」や「ねずみ小僧」といった「勧善懲悪」で拍手喝采を浴びる話は数多くありますが、民衆の切なる思いが激しく表出したものと言えます。
米国のトランプ大統領は「MAGA」(米国を再び偉大に)というスローガンを掲げ「米国第一主義」を押し通して自国の利益を優先します。何よりも損得を優先した政策です。各国に重関税を掛け、助けを求めるウクライナにレアアースの所有権を要求し、自身がノーベル平和賞を取りたいがための米露首脳会談も、米露経済協力とビジネスの拡大でありウクライナの東部領土割譲もまるで不動産取引をしているようです。そのことを正す人は世界に誰もいません。返報復が我が身に降りかかるからです。ドイツでは極右政党「AFD」(ドイツのための選択肢)が支持率で首位に立ちました。不法移民の排除やEU離脱など「ドイツ第一主義」を掲げる右派過激派です。日本では「反移民・日本人ファースト」を掲げた参政党が大躍進しました。「自国ファースト」は世界的な潮流となり反グローバリズム右派に向かっているように見えます。米国ではいま民主主義を根幹から覆す考え方が、一部の知識人や富裕層の間で真面目に語られています。「テックライト」と呼ばれる「テクノロジー+右派」の人達が存在感を増しています。しかしその先鋭的な考え方に危機感も増しています。長い間アメリカを含む文明世界は官僚主義により停滞が続きました。官僚政治は非効率で有害であり、組織が柔軟性を失い、加齢とともに動脈硬化を起こしていると訴えます。すべての省庁や規制を撤廃すれば制約なき技術の発展があり、計り知れない繁栄を手にすることができると訴えます。
この国に黄金時代が再び訪れ「MakeAmericaGreatAgain」素晴らしい国になると。そのためにイーロンマスク氏が率いた「DOGE」(政府効率化省)は官僚主義を廃止し、無駄な支出を減らし、国の機関の再構築を実施して、構造改革を進めるために大幅な人員削減(リストラ)に着手しました。官僚制度に風穴を開ける取り組みです。自分たちは他の誰よりも賢く皆のために決定を下すことができると考えていて、国家運営も企業のCEOのようにトップダウンで統治方法を中央集権に変えるべきだと主張します。民主主義のシステムを破壊しようとしている「テックライト」の思想家や投資家はトランプやイーロンマスクなどの億万長者が占有しています。議会の承認も得ずに政策を推し進めようとするトランプ政権の振る舞いは、まるで王政国家のようです。日本はトランプに振り回され、その対応に右往左往しています。反グローバリズム右派の参政党が躍進しましたが、貿易立国の日本がグローバリズムに背を向けるわけにはいきません。今回大きく動いた政界の山は砂上の楼閣です。このまま進めば自己崩壊するかもしれません。日本独自の民主主義を守るために損得より善悪、正しいことを是々非々で発言する勇気が必要です。
55年前に今の日本を予言した人がいます。作家の三島由紀夫は遺文の中で「政治は矛盾の糊塗、自己の保身、権力欲、偽善にのみ捧げられ、国家百年の大計は外国に委ね、敗戦の汚辱は払拭されずにただごまかされ、日本人自ら日本の歴史と伝統を汚してゆくのを歯ぎしりをしながら見ていなければならなかった。このまま行ったら日本はなくなって、その代わりに無機的な、空っぽな、損得だけを考える、抜け目がない経済大国が極東の一角に残るであろう」。これからの日本の将来は石破政権の手腕にかかっています。その責任を果たさなければ三島由紀夫が予言した「空っぽの経済大国が極東の一角に」すら残っていないでしょう。
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