更新情報
2025年12月 茶況_No.420
産地情報
令和7年11月5日
茶 況
茶園では、本格的な冬を前に敷草や防寒対策を進めています。茶草場で刈り取ったススキや笹などの山草を乾燥させてから5㎝位に切断して茶樹の畝間に敷く「茶草場農法」は世界農業遺産にも登録されています。生産者は「畑は嘘をつかない、手を抜くとそのつけは必ずくる」と日々の茶園管理に努めます。11月中旬まで製造が続いた秋冬番茶と碾茶は、秋冬番茶の平均単価は1395円、秋碾茶の平均単価は2504円と前年比約4倍と二番茶の平均単価を上回り生産者には嬉しい、産地問屋には厳しい結果で終了しました。夏の干ばつにより芽が伸びにくく、秋碾茶への移行もあり数量は2割減でしたが金額は4倍となりました。これなら茶業でもやっていけると昨年閉鎖した工場が、来年は再開する工場もあります。農業全体では、高齢化と後継者不足から国内の農家数は5年前から25%、34万人減っています。平均年齢は68歳と高齢化していて新規就農が進んでいないのが現実です。今後は農家数が減って残った農家に農地が集約されて大規模化することが日本農業の生き残る道ではないでしょうか。
産地問屋は年末商戦のヤマ場を迎え仕上と発送を忙しく進めています。静岡茶市場で今年最後となる入札販売会が開催されました。119点の出品があり製茶問屋34社が参加しました。販売数量は16.600K、販売金額は3926万円と前年比6倍の活況でした。
静岡茶輸出拡大協議会の研修会が静岡市で開催され90人が参加しました。さらなる輸出拡大に課題と展望が議論されました。「有機に向く品種への改植支援を県に求めます」「世界中に販路が広がったが供給する茶がない」「このままでは中国に市場を奪われる」など活発な意見交換がされました。欧米を中心に高まる有機茶需要を背景に生産者の間で有機茶園への生産転換が進んでいます。県は5年前に198haだった有機栽培面積を2025年に400haとする目標を掲げていましたが目標を達成しました。2035年までの10年間にさらに800ha拡大する新たな目標も発表しました。そのために、従来の栽培よ手間の掛かる有機栽培の課題をクリアする必要があります。県茶業研究センターは病害虫に強い品種の開発や「施肥設計試算シート」を開発して施肥の適正日や肥料の適正量、土壌中の窒素含有量がグラフ化されるソフトウェアを開発して生産者を支援しています。県内の茶関連機器メーカーも生産現場の要望を聞き取って、効率的に有機栽培ができる新技術を生産者に提供しています。カワサキ機工は蒸気を使って除草や害虫対策の茶園管理機を開発しました。寺田製作所は風力で病害虫を除去する茶園クリーナーを開発しました。今までの「やぶきた」偏重の時代から、需要に応じた生産の変化が静岡県茶業へ大きなうねりとなって押し寄せています。そして大きく変化しています。
消費地では年末商戦の追い込みに懸命です。「お奨めギフトコーナー」などを設けて、お店に足を運んでくれるお客様に「おもてなし」の心で接客に努めます。高級感を保ちながらも敷居を高くしない配慮は欠かせません。しかし、物価高騰に賃上げが追いつかずに消費者の節約志向が強まっているのを感じます。「暮らしと経済」に関する世論調査によりますと、今の景気が悪くなっていると感じている人が83%います。収入増の実感は乏しくコメ価格の高騰など食費負担が重くのしかかっています。政府の対応のまずさを挙げる人も多く、高市首相の「物価高対応策」が早く実感できるように、生活が楽になったと感じられる「次の一手」とその手腕に期待が集まります。
綸言汗のごとし
世界はいま弱小国は大国に従えばよいと言わんばかり勢力圏が復権しています。武力をもって他国の領土を奪おうとする大国や「自国ファースト」を声高に叫び武力と経済力をバックに弱小国に従えと言わんばかりに圧力を掛けます。日本初の女性首相となった高市早苗氏は「穏健保守」として知られていますが、国会答弁で立憲民主の岡田氏から台湾有事の際の中国による海上封鎖が発生した場合の対応を問われ「台湾有事が存立危機事態になり得る」と答弁したことに中国はすぐに反発し、日本への渡航自粛、日本農水産物の輸入停止、日本人アーティストの公演中止、日本映画の上映中止などで日本への攻撃を強めています。今後、レアアースなどの対日輸出制限や自動車輸入制限などの制限措置が出ると日本経済は深刻な打撃を受けます。質問した岡田氏も答弁した高市首相も不用意に、中国にとって一番触れられたくない台湾という「パンドラの箱」を開けてしまった結果です。その後、南アフリカで開催されたG20サミットでも高市首相と中国の李強首相との距離は遠く、来年1月開催予定の日中韓首脳会談が中止されれば日中関係は悪化するばかりで対立は数年続く可能性があります。台湾をめぐる今回の日本と中国の緊張については、日本国内でも意見が割れています。「我々は間違っていない。下手に撤回すればさらにつけ込まれる」という強気の姿勢や、米国の曖昧戦略を参考に「対話を通じて良い関係をつくるために強硬姿勢に固執しない方がよい、このままででは日本は孤立しかねない」国益を優先することは同じでも、その方策は二分しています。ひとつの救いは過去に起きたような反日デモや日本製品の不買運動が今のところ起きていないことです。政府と私達は別といった、市民はいたって冷静な点です。出航したばかりの「高市丸」は何処へ向かい何処へソフトランディングするのでしょうか。不謹慎ながら若干の興味を持って見ています。
今、国民には物価高や楽にならない生活への不満があり、その不満を解消してくれない既成政党へのNOが高まっています。極端な解決策を言う政党が称賛される雰囲気になっていて、まるでスポーツ観戦の応援団のようですし、国民も短期の成果を求めます。ですから特定の支持者に向けての「やってる感」のアピールに躍起になり、能力のある政治家が長期的な視野を持ちづらくなっていますので、刹那政治の行き着く先が心配されます。
アベノミクスに並ぶ「サナエノミクス」への期待は高まり強い経済を目指して「日本成長戦略本部」、「地域未来戦略本部」などを立上げスタートしました。そして外交政策では「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」と訴えます。経済対策として18.3兆円の大型補正予算を決定しました。税収増では補えず、国債の発行が11.7兆円と約6割を占めます。この予算案で家計支援と成長投資の財源とするとしています。しかし、モノ造りの日本を代表する多くの大企業がグローバル化により日本から脱出して現地生産をする傾向が続いています。その結果、国内経済は付加価値の少ないサービス産業や高齢者を支える業種だけが残り、これ以上の成長は望めません。人口減少と高齢化で人手不足による空洞化は顕著で、人口減少により物が売れない、人手不足により閉店せざるを得ないといった経済成長止める足カセばかりが目立ちます。今後の高市首相の「次の一手」に期待が集まります。中国の威圧的対応や態度は理不尽で不愉快ですが、このままでは日本経済は深刻な打撃を受けかねません。日本には「覆水盆に返らず」という、ことわざがあります。
こぼれた水を盆に戻せないように、一度起きてしまったことは二度と元には戻らないという意味です。中国には「綸言汗のごとし」という格言があります。汗は一度出ると二度と体内に戻せないように、一度口から出た言葉は取り消したり訂正することができないという意味です。今後の「高市丸」は、この先何処まで行くのやら・・・。
- アーカイブ
-
- 2025年12月 (1)
- 2025年11月 (1)
- 2025年9月 (1)
- 2025年8月 (1)
- 2025年7月 (1)
- 2025年6月 (2)
- 2025年5月 (1)
- 2025年4月 (1)
- 2025年3月 (4)
- 2025年2月 (2)
- 2025年1月 (1)
- 2024年12月 (2)
- 2024年11月 (3)
- 2024年10月 (10)
- 2024年9月 (17)
- 2024年8月 (19)
- 2024年6月 (1)
- 2024年5月 (1)
- 2024年4月 (1)
- 2024年3月 (2)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (1)
- 2023年11月 (1)
- 2023年10月 (1)
- 2023年8月 (4)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (3)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (3)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (3)
- 2022年12月 (6)
- 2022年11月 (4)
- 2022年10月 (5)
- 2022年9月 (4)
- 2022年8月 (3)
- 2022年7月 (6)
- 2022年6月 (1)
- 2022年5月 (1)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (1)
- 2022年2月 (1)
- 2022年1月 (1)


