更新情報
2023年5月 茶況_No.392
産地情報
令和5年5月17日
茶 況
今年の新茶は4/15の茶市場開きより始まったものの、芽伸びが思うように進まず、本格的に始まったのは4/19から5/7迄で、ゴールデンウィーク中に終了する異例の早さでした。朝晩の温度が低く芽伸びを待っての生産が続いたことから出回り量が膨らまないまま終盤を迎えました。収量は前年の2割前後減収の見込みです。掛川茶市場の取扱は前年比数量73%、金額82%でした。販売担当者は、品質が良くても売る切るのに苦労する場面が多かったと厳しかった取引状況を振り返ります。減産なのに買い気は弱く価格の下げが進む相場展開に茶業継続を不安視する生産者も多くいます。二茶も厳しい相場動向が続くと予想されますので廃業を決断する茶農家もあります。2000年に2万5千戸あった茶農家は2020年には6千戸を割り、減少に歯止めが掛からない状況が今後も続きます。
産地問屋は仕上と発送作業、仕入した原料の用途別の保管作業を進めています。仕入姿勢は終始慎重で品選びは例年以上に厳しく品質の差により価格差が広がりました。安定した売り先がない茶工場は売り切るのに苦労する展開が続きました。リーフ茶需要の低迷から産地問屋はどこも元気がありません。静岡県内ピーク時には2千億円あった仕上茶出荷額も現在は半分となりました。しかし、県内1割強の茶問屋さんは業績を伸ばしています。いずれも、ドリンク原料を扱う、海外に販路がある、ネット販売に特化等の特長があります。先日、タイの茶生産者が、茶の摘採機や管理機を見学に来日しました。静岡市の問屋さんの招きですが、タイで日本の生産技術を生かした緑茶を製造してタイ国内の大手ドリンクメーカーに納品して業績を伸ばしています。掛川市に先進的な挑戦で進化を続ける茶問屋さんがあります。時代の変化に対応して、「売り先、売り方、売る物」を変えることで成長しています。緑茶の飲み方が大きく変化することを予測してペットボトル原料をいち早く扱いました。消費者の購買行動を先読みしてスーパーやネット販売に早くから取り組みました。輸出に関心を示す茶商が皆無の20年前から海外を視野に輸出を展開しました。では今、その会社は何に注目しているのか?茶商が荒茶を自由に仕入できない時代が訪れることを予測して「農業生産法人」を設立して全自動で機械化できる農地整備に努めています。時代の変化を先読みして、先に先にと手を打つ手腕は県内でも高く評価されています。当社では昨年までは価格別の生産量を示す「価格帯」を添付していましたが、その必要性が薄いと判断し今年から「価格帯」の添付を中止しました。
消費地では「水出し煎茶」の販売促進に努めています。2ℓの緑茶ペットボトルを冷蔵庫から出して飲む生活スタイルが定着していますので、店頭での接客と説明を根気よく続けて地域密着で頑張っています。東京に新たなアンテナショップ「ふじのくにショールーム」を設ける県の構想が凍結状態から見送りになりました。都内では自治体アンテナショップの閉店が相次ぎ、ブームは曲がり角を迎えつつあるからのようです。都内にアンテナショップを構えれば、賃料は年間数千万円以上とされ、リアル店舗を開設する意義が薄れているからです。しかし、首都圏向けの販路拡大と情報発信は不可欠ですので量販店で販売会を開催したり、ネットを活用して特産品の商談につなげていくリアルとオンラインを組み合わせた販路拡大路線に切り換える方向です。時代の変化とともに消費者のニーズと満足も多様に変化して「売り先、売り方、売る物」を的確に捉えた経営者が成功しています。
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