更新情報
2023年8月 茶況_No.395
産地情報
令和5年8月30日
茶 況
茶園では天候を見ながら秋の茶園管理を進めています。8月の前半は雨が少なく、熱波による赤焼けした茶園も見られましたが、台風6号・7号の影響による雨で茶園は潤いを取り戻しました。水不足により樹勢は弱り気味でしたが息を吹き返し、9月中旬以降に始まる秋冬番茶への影響も軽微なもので済みそうです。ここに来て、にわか雨のような雨が断続的に降りますが、もう雨はいらないといった声も聞かれます。秋冬番茶は今年最後の生産となりますが、重油や電力の高騰により厳しい対応を強いられ、相場によっては採算割になる可能性もありますので注文生産に移行する工場もあります。このまま来期も生産を続けるのか、やめるのか、生産者は岐路に立たされています。福岡県で開かれた第77回全国茶品評会「深蒸し煎茶の部」で掛川市の山東茶業組合が2年連続7回目の栄誉に輝きました。掛川市は4年連続25回目の産地賞を受賞し日本一の座を死守しました。「茶草場農法」など日頃の茶園管理の努力が報われて喜びもひとしおです。
産地問屋は仕上・発送作業を進めながら秋需に向けた販売計画を立て、9月中旬以降に始まる秋冬番茶の仕入計画を茶市場や斡旋業者と打ち合わせしています。ドリンクの関連業者は仕入本数を予約して数量確保に動きますが、県内8割の問屋は必要としない価格帯です。ペットボトル緑茶は価格競争にさらされ、原料はより安価な秋冬番茶が主原料になっています。産地の9割の問屋は元気がありませんが、1割は元気のいい経営者です。先が見えなくて将来が不安定な茶業界ですが、トップの経営手腕の優劣によって明暗がハッキリと別れた形です。消費ニーズにそった商品と販売戦略を実践しながら、もがいて、汗をかいて、努力しています。その実行力に頭が下がります。
消費地は、暑さで街なかに人通りが少なくなり来店客数は減る一方との嘆き節も聞かれますが、「水出し煎茶」は2ℓのペットボトルに変わる飲み物として例年以上の売れ行きです。秋から販売を始める「口切り新茶」の販売計画も同時に進めています。食料品や生活必需品・電気代やガソリン価格の上昇により対応を迫られる消費者は節約を心掛け、いかに工夫してお金をかけずに生活満足度を高めていくかの快適なライフスタイルを考えています。店側は、常に「顧客満足」を考え「顧客の要望」に応える必要があります。今日の延長線上で商いを続けていたらお店は必ず衰退する。お客様のために今日何をして、明日のお客様をどうお迎えするかを考えて実践しているお店には活気があります。リーフ茶需要の減退、若い人の緑茶離れが危惧されていますが、今までの成功体験にとらわれない、現在の消費に促した商品や提案などの構造改革が早急に必要と感じています。
政府は脱酸素社会の実現を目指す「GX」分野に総額2兆円超の概算要求案を決定し、複数年に分けて計上します。地球温暖化の要因となる温室効果ガスの排出を減らすために太陽光や水素といったクリーンエネルギーを積極的に使う社会への変革を目指します。静岡県内では菊川市と鈴与商事が連携協定を結び、菊川市のCO2排出量を2050年までに実質ゼロを目指します。浜松市は「市カーボンニュートラル推進協議会」を立ち上げ2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする脱炭素社会の取り組みを加速させています。脱炭素社会の実現は廃業せざるを得ない事業もあれば、新しいビジネスが生まれるチャンスでもあります。
2024年パリオリンピック
最近「異常気象」と感じることが頻繁に発生し、猛暑日・大雨・干ばつ・海面上昇など、記録的な暑さは世界に影響を及ぼしています。7月・8月の世界平均気温が史上最高となり海面水温も過去最高を記録して太平洋の赤道域ではエルニーニョ現象が続いています。南極海の氷が溶けて海氷面積は縮小し続け、カナダやギリシャなどで大規模な森林火災を続発させています。気候変動の影響を否定することはもう誰にもできません。国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり地球沸騰化の時代が到来した」と警告を発し各国に気候変動対策の強化を求めました。温暖化を抑制しなければ、より高温の熱波が長く続くようになると指摘し、地球温暖化防止に向けた温室効果ガス排出削減のための取り組みが急務だと警告しました。地球温暖化の主な原因は、人間の活動により排出される温室効果ガスです。温室効果ガスとは二酸化炭素(CO2)が主です。石炭や石油などの化石燃料やプラスチックなどを燃やすとCO2が発生します。温室効果ガスのCO2の排出量を減らすために世界各国が、それぞれの目標を掲げ、その目標を達成するための取り組みを行っているのが「パリ協定」です。パリ協定は2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。世界55カ国以上が、約束草案を事務局に提出して、先進国だけでなくすべての国において温室効果ガス削減に取り組みます。2030年までに中国はCO2排出を60%削減(2005年比)、インドは40%削減(1990年比)、アメリカは50%削減(2005年比)、EUは40%削減(1990年比)、日本は26%削減(2013年比)など各国の削減目標が提出されました。日本は「2050年カーボンニュートラル宣言」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすると約束しました。急激に確実に進んでいる地球温暖化を世界規模で改めて考え、目標を決めてそれを実践しましょうということです。世界の温室効果ガス排出量の80%を占めるG20諸国も気候変動対策のために立ち上がりました。
来年7月に2024パリオリンピックがフランスで開催されます。フランスは「パリ協定
遵守」を促し進めるために国や企業・個人への意識改革を強くアピールします。観客の100%が公共交通機関・自転車・徒歩で会場に移動し自家用車の乗り入れを認めません。使い捨てプラスチックの使用を禁止します。オリンピック競技場内にはマイボトルを持参しないと入場できません。地球、そして人類にとって持続可能な未来のためには、地球温暖化対策は、まったなしの状況を訴えます。世界的な脱炭素・脱プラスチックの流れは加速しているのです。
2024パリオリンピックを節目に世界の潮流は大きく変化します。地球温暖化による水不足と外で働くリスクが高まることから農業従事者が減り食糧不足による<食料価格の上昇>が考えられます。100年に一度の大変革期を迎えている自動車業界もガソリン車から<電気自動車に加速>します。プラスチックは石油から製造されていますので製造するにも処分するにもCO2を排出しています。使い捨てプラスチックを利用しない、プラスチックゴミを出さないために<マイバック・マイボトル>の利用が世界の流れになっています。飲料用ペットボトルを少なくして<アルミ缶>で販売を開始する飲料メーカーも増えます。
SDGs12「つくる責任つかう責任」生産者も消費者も地球の環境と人々の健康を守れるよう責任ある行動をとろう。SDGs13「気候変動に具体的な対策を」気候変動から地球を守るために今すぐ行動を起こそう。1年後の「2024年パリオリンピック」を境に脱炭素・脱プラスチックの流れは加速して世界の流れは大きく変わります。
- アーカイブ
-
- 2024年11月 (3)
- 2024年10月 (10)
- 2024年9月 (17)
- 2024年8月 (19)
- 2024年6月 (1)
- 2024年5月 (1)
- 2024年4月 (1)
- 2024年3月 (2)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (1)
- 2023年11月 (1)
- 2023年10月 (1)
- 2023年8月 (4)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (3)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (3)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (3)
- 2022年12月 (6)
- 2022年11月 (4)
- 2022年10月 (5)
- 2022年9月 (4)
- 2022年8月 (3)
- 2022年7月 (6)
- 2022年6月 (1)
- 2022年5月 (1)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (1)
- 2022年2月 (1)
- 2022年1月 (1)