更新情報
2022年5月 茶況_No.381
産地情報
令和4年5月12日
一番茶の摘採が終了した茶園では、中切り・深刈り更新と二番茶に向けた施肥などの茶園管理を進めています。病害虫の発生しやすい季節になりますので茶園状況の入念なチェックと対策は欠かせません。一番茶の反省会と二番茶の製造計画も各地区で開催されていますが必ず出る議題は将来への不安です。今季も生産量は若干多いものの相場安で推移し販売価格は前年並みです。肥料や燃料価格が高騰していますので収入は減収となり経営は厳しさを増しています。私の手元に残る35年前の資料と比較してみました。掛川市の現在の茶農家数536戸、35年前は4100戸でした。現在の製茶工場数59工場、35年前は498工場、茶商社は現在34社、35年前は43社ありました。このまま廃業する農家が増えますと10年後には荒茶の供給不足に陥る恐れがあります。そこで、掛川市では平成28年度に策定した「掛川茶振興計画」を見直し新たに「掛川茶未来創造プロジェクト」を策定しました。10年後も「掛川茶」が生き残るために①茶農家の所得向上 ②現代に即した流通構造への転換 ③消費拡大策の推進、を3本柱に茶農家の収入の安定化を図り将来直面するであろう供給不足に対応する施策です。そして、何よりも重要視しているのは品質・ブランド力・競争力による消費拡大策です。「山は富士 お茶は静岡 日本一」の再興を目指して掛川市はプロジェクト」を推し進めていく覚悟です。
産地問屋は仕入した一番茶の整理と保管作業を進めながら仕上と発送作業に忙しく対応しています。新茶出始め初期に不安定な天候が続きましたので仕入数量が伸びずに心配されましたが5/2の八十八夜までには数量の確保ができて安心しました。消費地への出荷の動きは鈍く売上は前年比10%減位に落ち着きそうです。始終弱気配で終了した今年の一番茶ですが、リーフ茶需要の減少による小売店の減少が原因です。売れないから買わないという悪循環です。以前は30k入で10本~20本と仕入しましたが、現在は1本~5本といった少量の仕入になってしまいました。生活様式の変化や多様化に対応した商品や販売先の開拓が必須課題となっています。
消費地では「新茶商戦」も終わり「中元商戦」の準備へと移行しています。「予約新茶」も昨年並みを確保できて良かったと安堵の声も聞かれます。ウクライナ情勢や円安による生活必需品の値上げが続き、景気への減速感が出ていますので消費の最前線は、その対応に神経を使います。販路拡大に新たな視点を持って取り組み、お客さまが喜ぶ店づくりが基本として地道に対応しているお店もあります。 ロシアによるウクライナ侵略は止みません。「我々のロシア軍隊に栄光あれ」と叫ぶ国と、損得抜きに関係を保つ国はありません。退役軍人が台上に上り、77年前の戦勝記念を誇りとするロシアは、時代錯誤も甚だしい国です。冷戦後、時代は変わっているのです。国の大統領も会社の指導者も時代の変化に連れて変わらなければ衰退する一方です。今回の戦争は単にウクライナとロシアの問題ではありません。「民主主義」と「専制主義」の戦いです。いま国際社会はウクライナを助けていますが、国際社会の一員として日本は何ができるのか。日本が有事の際に国際社会から助けてもらうために必要なことは何かを。
価格帯
新茶の初取引が始まると茶市場内には、売り手と買い手がソロバン片手に価格交渉が開始され、商談の成立を告げる手締めの音が、次々と場内に鳴り響きました。今年の新茶は気温・降水量に恵まれ凍霜害もなかったことで生育は順調に推移し良質な新茶ができました。出始めに不安定な天候が続いたことから仕入数量が伸びずに「予約新茶」の数量確保が心配されましたが八十八夜前には、天候も順調に推移してピークを迎え短期集中で終了を迎えました。引き合いは始終弱く最後まで価格が下げ止まらず軟調な相場展開が続きました。人気のある工場は予約本数が入っていますので完売しますが、100本(30k入)以上製造する工場は販売に苦労する展開が続きました。始まる前の予想では荒茶3000円以上は弱気配、荒茶2000円代に入れば、ある程度止まると予想されましたが、価格下落のペースは早く最後まで下げ止まりませんでした。当社の仕入価格帯は下記のとおりです。
増産ですが販売金額は前年並みですので、肥料・重油・電力などコスト高から実質は減収となり生産者にとって厳しい内容です。静岡県は静岡茶業再生を掲げ「茶業振興計画」をスタートさせました。静岡茶を将来にわたって安定供給するために、先端技術で省力化・自動化を実現する「スマート農業」を進め、稼ぐ力を強めて50歳未満が安定して農業従事できる環境を整えたいと努力しています。明るい話題もあります。「かけがわ有機の郷」が初めて有機茶の専門工場を稼働させました。市内北部の4工場が、2年前に解散した製茶工場を譲り受け新会社を設立しました。2年後に14ha、将来は20haの有機栽培茶園を目指し、後に続く若い生産者を育てたいと意気込みを語りました。
今後製造予定の二番茶・秋冬番茶は、重油などコスト高になっていますので「平年比高価格」が予想され、平年比並価格であれば製造中止「減産」が予想されますのでそれなりの対応が必要です。
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