更新情報
2023年2月 茶況_No.389
産地情報
令和5年2月15日
茶 況
生産者は、新茶に向けた茶園管理を進めながら収益が確保できる経営体質に脱皮しょうと経営改革を進め、他の農作物との併作などを検討しています。2022年の一世帯当たりの緑茶購入数量は700g(7.6%減)3263円と2年連続して前年を下回りました。一方ペットボトルなど茶飲料の支出金額は8000円(2%増)と横ばいからやや増加傾向です。支出金額では、リーフ茶の2倍以上をペットボトル飲料に出費しています。その結果、必要とされる原材料は二番茶と秋冬番茶等の下級茶が主流になっています。一番茶の市場として輸出拡大に向け有機栽培や減農薬に取り組んでいる茶農家もあります。春肥の準備と防霜ファンの点検や機械整備を進めながら新茶を迎える準備に入ります。
産地問屋は在庫調整を進めながら販促計画に努めます。例年ですと端境期は原材料の過不足による問屋間取引が活発になるのですが荷動きは、ほとんどなく静かな産地状況です。このままの気配が続くと新茶相場にも影響が出るのでは、と懸念する声も聞かれます。2022年の農林水産物の輸出額は1兆4148億円(14%増)と10年連続で伸びています。世界の緑茶人気を足掛かりに海外販路を広げるための営業活動をしている問屋もあります。
消費地では、新茶商戦に向けて予約新茶等の販売計画を練っています。お茶を急須で入れて飲む習慣が年々薄れ、高齢顧客の来店頻度は減少傾向が続いています。得意客が、また来たいと思うような店づくりには何が必要か、懸命に知恵を絞ります。1月の景気ウオッチャー調査は3ヶ月連続で悪化していると発表されました。街なかの人出は徐々に増えていますが、光熱費や食材などの高騰により節約志向が高まり、選択購入が高まっていると指摘しています。
渋谷の東急百貨店本店が55年の歴史に幕を閉じました。渋谷で大規模な再開発を進めているためです。跡地には地上36階建ての複合ビル(商業施設・ホテル・賃貸住宅)が建つ予定です。新宿の小田急百貨店も昨年10月に閉店しました。立川の高島屋も営業を終了しました。新宿の京王百貨店は閉店し建て替えが計画されています。百貨店のピークだった30年前の売上10兆円から2022年は売上5兆円と半減しました。関係者は「街の変化に対応していかないと企業も生き残れない」と時代の必然的な流れとの話も聞かれます。
東芝の経営再建問題が大詰めを迎えています。買収金額は2兆円規模になる見通しです。三菱重工業は国産初のジェット旅客機の開発から完全撤退します。500億円の国費を投入し約1兆円の開発費を投じましたが「日の丸ジェット」の商用化は夢に終わりました。三菱重工業は防衛費増額により次期戦闘機開発に着手しますが、スペースジェットの部品を供給していた中部圏の企業は、失望感から存続の危機に直面しています。ロシアによるウクライナ侵攻は、さまざまな原材料価格の高騰を誘発し日本の経済活動が再び停滞気配を見せています。黒田日銀総裁の後任に経済学者の植田和男氏(静岡県相良町出身)が決まりました。金融政策は歴史的な転換点を迎えていますが難しいカジ取りが予想されます。借金が膨張して国の借金は1257兆円となりました。1人当たり約1007万円の借金を抱えていることになります。国民が納得できる信頼を回復できなければ経済混乱を招きかねません。人も街も商業も変わり、国内も世界も大きく変わる転換点を迎えています。出口を間違えたら大変なことになりそうな…、雲行きが怪しくなってきました。
2024年 問 題
2019年より働き方改革関連法案が施行され企業にとって重要な経営課題のひとつになり、これまでの働き方が大きく見直されています。「働き方改革」とは働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革ですが、日本は「少子高齢化に伴う労働人口の減少」などの課題に直面しています。
「2024年問題」とは働き方改革関連法によって2024年4月から「自動車運転業務における残業時間の上限規制」と「有給休暇の消化義務」が適用されることで運送業界に生じる諸問題を意味します。具体的にはドライバーの残業時間が年間960時間に制限されます。上限が設定されることで会社の売上減少や利益減少、ドライバーの収入減による離職や運賃上昇といった諸問題が生じます。ドライバーに対する残業時間の上限規制は、他の業種と比較すると実情に合わせて緩く設定されていますが、大半の運送会社では、法律の基準をクリアできないほど残業労働が常態化しているということです。上限規制に違反した場合、雇用者は6ヶ月以下の懲役または30万以下の罰金が科される可能性があります。残業の上限規制でドライバーの労働環境が改善する半面、ドライバーからは「残業は体がきついけど少な過ぎると収入が減り生活が苦しくなる」といった声も聞かれ、離職が増える可能性があります。その結果、2024年からは、運送業界の深刻な人手不足が予想されます。今までは荷物が翌日に着くのが当たり前とされていましたが、これからはドライバー不足により翌日配達が難しくなる可能性もあります。当然、運賃も上がります。運転手不足、賃金の上昇、燃料費の上昇により運送業界は、厳しい局面を迫られ廃業するところも出て来ると予想されます。
通販大手のアマゾンや楽天は、配達を支える物流網が限界に近づきつつあり、配達を急がない利用者には何らかのメリットがある仕組みを検討しています。そして配達網の再構築を迫られています。国内の電子商取引の市場規模は約14兆円とコロナ禍に伴う巣ごもり需要で急増しました。宅配便の取り扱数も約50億個と10年間で約1.5倍になりました。そこで業界では、地域の新聞販売店や商店街商店主など中小事業者が近距離の商品配達を担う新たな取り組みを始めました。中小事業者の協力を得ることで、ネット通販の需要拡大とドライバー不足に対応する狙いです。当面は首都圏と近畿圏など9都府県が対象です。
日本は遠くない将来、先進国から陥落するかもしれない危機的状況です。一人当たり国内総生産(GDP)は30位。特技だった半導体は米国・韓国・台湾に後れを取りデジタル技術力27位、電気自動車(EV)化は日産13位、トヨタ16位と世界から大きく遅れました。トヨタはEV戦略の立て直しのため若い社長(52歳)に交代しました。総合国家競争力31位は、もはや先進国とは言えない体たらくです。
岸田内閣は民間企業に賃上げを求めています。民間企業の給与水準に政府が口出ししなければならないこと自体、異常事態と考えるべきです。中小企業はコストの上昇を即価格に転嫁できません。契約を打ち切られまいと納品価格を抑えたり、円安による原材料高騰を価格転嫁できないために給料を上げられないのが現実です。日本の製造業の生産性は低くモノづくりで強いはずの日本は賃金で韓国に追い越されてしまいました。日本の賃金は上がらず、他の国の賃金は上がっていますので良い人材は報酬が低い日本には来ません。逆に、日本より賃金が高い海外で働きたいと考える若い人が増え日本の優秀な人材の海外流出が始まっています。こうした状況を踏まえて2024年問題に対処する必要に迫られています。
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