更新情報
2024年2月 茶況_No.400
産地情報
令和6年2月27日
茶 況
桜が咲いたかと思えば雪が降ったりと三寒四温の続く茶園では、春肥の投入を始めた生産者もいます。茶価低迷や後継者難から廃棄茶園が増え、廃業する農家や茶工場もあります。山間地の荒廃茶園では、イノシシが茶園を荒らすために地区ぐるみで対策をしています。経営が持続できる経営体質に変えたいのですが道程は容易ではありません。機械化が可能な茶園に基盤整備したり、輸出用の有機抹茶の製造に切り替えたり、複合経営にしてレタス・ブロッコリー・イチゴ・山芋・ニンニク・栗などを栽培して収益を増やすように努力しています。2023年の荒茶生産量は、静岡は前年比5%減の27,200トン、鹿児島は前年比2%減の26,100トンと静岡が辛うじて首位の座を守りました。一番茶生産量は前年比14%減の9,060トンと過去最少となりましたが単価は前年並みでしたので茶業を見限って離農や転作に歯止めがかからない状況が続きます。
産地問屋は在庫調整と仕上・発送作業を進めています。2月決算の問屋が多く決算準備をしていますが、売上減・経費増・収益減の厳しい決算になりそうです。売上減と取引先減少から廃業を決断する問屋や組合を退会する問屋も出始めました。総務省が発表した家計調査によりますと2023年一世帯の年間リーフ茶購入量は前年比3.5%減の676g、3214円でした。ペットボトルなどの茶飲料支出額は3.6%増の8290円です。県内でペットボトル原料を扱う問屋は1割位でしょうか。ペットボトル原料を扱う問屋と輸出をしている問屋は元気が良く、9割の問屋は元気がありません。2023年の緑茶輸出額は前年比33%増の292億と4年連続で過去最高を更新しました。煎茶よりも抹茶や粉末茶が伸びています。県立大の岩崎教授はマーケティングの観点から「長年蓄積された<茶どころ静岡>のブランドイメージは、そう簡単には変化しない。今必要なのは、前向きなチャレンジと質的な進化を続けること」と指摘します。
消費地では、新茶の資材準備と販売計画を進めています。3月に入ると「予約新茶」の受付も開始します。包装資材メーカー吉村の橋本社長は急須を持たない消費者層への販売について「新たな茶の飲み方の提案は不可欠であり、フレーバーティーなど多様な茶を紹介してお茶を選ぶ理由をつくることが大切」と小売店の販売促進についてアドバイスしています。イトーヨーカドーが北海道、東北、信越地方の17店舗を閉店します。125店舗から93店舗に縮小して首都圏、関西、中京の3大都市圏に集約して収益性の上がる構造改革を進めるためです。
「ダイソー」の矢野博丈氏が80歳で永眠しました。広島の妻の実家で継いだ魚の養殖業に失敗し家族と東京に夜逃げをする途中、車の中で子供が「父ちゃん、何処行くん」と聞いたそうです。百科事典の訪問販売やチリ紙交換を経てたどりついた「100均」。空き地で露店を開く日、雨が予想されたために中止しようと思っていたら天気は回復。急ぎ駆けつけると前日まいたチラシを見た客たちが待っている。品に値札を貼る間もなく次々と「これなんぼ?」と聞いてくる。確認するのも大変で全て「100円でええ」と言ったのが「100円均一ダイソー」の始まりだそうです。「安物買いの銭失い」そう言って何も買わなかった来店客がかっており、悔しくて「たった100円の品でお客を喜ばせてみせる、お客に有利な商いを毎日続ける」そう思い定めて歩んだ商いの道でした。合掌。
失われた34年の果て
日経平均株価が34年前のバブル期の最高値を更新しましたが、世界に遅れをとり足踏みする日本の現在に34年前のような好景気の実感はありません。バブル当時、高級品を買いあさり消費を牽引した日本人の姿は、今や訪日外国人客に取って代わられています。国内で幅広く循環したマネーは、少子高齢化と企業のグローバル化に伴い海外へ流出しました。今年が「失われた34年」からの覚醒の年になるのか疑問です。2025年に戦後まもなく生まれた「団塊の世代」が75歳以上となり、4人に1人が後期高齢者の超高齢化社会を迎えます。すでに65歳以上の人口割合が世界トップの日本は少子高齢化社会の階段をまた一歩上がることになります。1968年には日本の名目GDP(国内総生産)は米国に次ぐ世界2位の経済大国でした。その後、2010年に中国に抜かれ3位に、2023年にはドイツに抜かれ世界4位に転落しました。大幅な円安によりGDPがドル換算で目減りすることが要因ではありますが、今回の逆転劇は経済改革が遅れる日本への警鐘と受け止めるべきでしょう。1980年代には、日本製テレビは世界市場の4割を占め「メイド・イン・ジャパン」は日本人の誇りでした。携帯電話も当初はNECや東芝やシャープの製品が先端を走っていましたがスマートフォンの登場で一気に遅れをとり携帯市場を去りました。いま国内市場の6割のシェアを握るのは米アップルのi phoneです。政府は日本経済の長期低迷下を脱しょうと、さまざまな手を打ってきましたが効果なく「失われた34年」の低成長がもたらした結果が現在の日本です。日本は世界から遅れをとり、先端技術の国別ランキングでは1位中国、2位米国、日本は2軍にも3軍にも入れず4軍との評価は衝撃です。需要が高まっている半導体の生産も34年前には、日本企業が、10位以内に7社入っていましたが、今は10位以内に1社も残っていません。かつてアメリカで発売されたビジネス誌「ジャパン・アズ・ナンバーワン」はベストセラーとなり、「日本人を見習え」という言葉が米国ビジネスマンのレッスン書となり合言葉になりました。現在は日本が米国・中国を見習えの体たらくです。米国民間企業の月着陸船「ノバ」が月面着陸に成功しました。米国NASAは未知の宇宙産業の育成を目指し宇宙に勝機を見出そうとしています。ソフトバンクはAI(人工知能)関連に15兆円規模の投資を行うと発表しました。今後、日常生活からビジネスまで、あらゆる場面でAIが絶大な影響をあたえると予測されるからです。「今日の考えは、明日にはもう古い」という言葉を痛感します。世界情勢は混迷を深めていますが、米国・中国・ロシア・日本ともに実権を握っているのは、過去にこだわる高齢の政治家です。将来を予測して対処できる若い政治家にバトンタッチする時ではないでしょうか。 経営も予測不能なことが次々と起こる現在は「やるべきこと、できること」を常に考え実行することが求められています。これからの日本は、人口減少と高齢化を迎え消費低迷の時代に入ります。今まで3ヶ売れた物が2ヶになり、3台必要だった車も2台で間に合うようになり、空地・空家も目立つようになります。高齢化と後継者不在と人手不足により、あらゆる業種で廃業が増えます。「人口が増えないのに経済成長するはずがない」とは、ある経済学者の言葉ですが、国際競争力の低下は避けられません。人口減少が避けられないために1人当たりの労働生産性の向上は不可欠ですし、移民受入れも必要です。国内消費は低迷しますが、海外や訪日外国人に販路をもつ企業は売上を維持できます。輸出する、外国で生産して外国で販売する、訪日外国人に販売する等々、対策は色々と考えられ打つ手はまだまだあります。失われた34年の果てに待っていたものは、世界から乗り遅れた日本と少子高齢化の社会でした。2024年は「失われた34年」の覚醒の年にしたいものです。
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