更新情報
2024年1月 茶況_No.399
産地情報
令和6年1月31日
茶 況
今年は、元日に衝撃的な大災害が発生し、年賀の気分を吹き飛ばし、2024年が始まりました。ロシア・ウクライナ戦争、中東情勢など想定しなかったことが突然起きています。そして、立ち止まって何もしないと時代に取り残されるリスクが高まってきました。脱炭素やデジタル化や賃上げなど、社会に共通した方向性への未来投資は不可欠となっています。時代の変化に取り残されないように皆で知恵を出し合いながら、明るい未来を切り開くべく挑戦する年の始めです。
生産者は茶園を定期的に巡回して防寒対策や乾燥対策に気を配りながら2月中旬から始まる春肥投入への準備をしています。厳冬期に入り茶の木は休眠していますが、冬眠が深く長いほど茶の木にとっては活力を蓄積する好条件となります。農家の高齢化が進み放棄茶園をあちこちで見受けるようになりました。現在の生産者が後期高齢者となる2030年には農家数は1/3になると予想されます。後継者がいなくて廃業を決断した農家では、茶園の整地や抜根作業をしている所もあります。静岡県では、本気で構造改革を進めないと茶園が消滅するという危機感を持って、その対策に奔走しています。
産地問題は消費地・生産者と情報交換を進めながら営業活動と販売拡大に努めています。廃業の話を聞くたびに愕然とし、「長い間お世話になりました」との言葉しか見つからず将来への不安だけが残ります。茶の需要を増やさなければ根本的な解決策にならないことは分かっていても次の一手、対策が見つからないことへのもどかしさが募るばかりです。生産者からはどこの茶問屋へ挨拶に行っても「売れないから買えない」の話ばかりで、売るための前向きな話はなく「お先まっ暗」とのことでした。生産者・産地問屋・消費地小売店ともに廃業が加速する一年になりそうです。コロナ対策の無利子・無担保融資が終わり資金繰りに窮する企業が増加しています。廃業もしくは倒産する企業が今年はピークを迎えそうです。 食料品等の物価上昇により消費者の財布のヒモは固く、消費地の状況は、なかなか好転しません。「昨日も今日も同じことを繰り返していたらお店は滅びる」の信念のもと、今日のお客さまをどうお迎えするかを常に考えてお店づくりに生かしています。「このお店で買いたい」と言われるように顧客満足を高め丁寧な接客を常に心掛けています。お客さまから選ばれるお店を目指し。地域から必要とされるお店になるように日々の取り組みをひとつひとつ丁寧に進めています。消費地小売店さんが頑張ってくれないと一番茶が売れなくなるとの生産者の心配する声をよく耳にします。生産される上級茶の大半を消費地小売店さんが取り扱っていますが、どうすれば小売店として生き残れるのか、その道筋はまったく見えていません。全国百貨店も同じ状況です。大都市の百貨店が訪日客需要の回復で売上を伸ばす一方、地方百貨店は次々と閉店しています。最盛期には311あった百貨店も現在は180店舗まで減少しました。山形・徳島・岐阜・島根など県内に1店舗もないゼロ県も増えています。郊外型ショッピングセンターやインターネット通販の台頭などが背景にあります。小売業は変化対応業だと言われますが、どう変化対応すれば生き残れるのか難しい舵取りを迫られています。最近は国内外で予測できないことが次から次へと起きていますが、経営者の真価が問われる年になりそうです。
グリーンフィンテック
環境や人権の改善など社会的な課題の解決にどう貢献できるかが企業の価値を左右しつつあり、利益との両立が試される時代になりました。気象庁は2023年の平均気温が平年値を1.29度上回り1898年の統計開始から最も気温が高くなったと発表しました。2015年のパリ協定で決められた今後数年の気温上昇を1.5℃に抑えるという目標値をすでに上回りそうな上昇率です。国連のグレーテス事務総長が深刻化する気候変動をとらえて「地獄の門が開いた」と表現しましたが、二酸化炭素(CO2)の排出量を減らし地球温暖化を止めなければ人類が住めない地球になってしまうという危機感の表れです。経済を優先する世界の価値観や社会のあり方を持続可能なライフスタイルに転換しなければ気候難民が2億人といわれる地球が壊れてしまうという警告です。先進国の後を追って豊かさを求めた新興国や途上国のエネルギー消費量は増加の一途をたどり豊かさを求める生活のありかたがCO2の排出量を増やし地球の劣化をもたらしました。先進国は環境よりも経済を優先して大量生産、大量消費による経済成長、企業成長を続けてきた結果が現在の状況です。地球から発せられる悲鳴に耳を傾けずに、ひたすら豊かさを求めて経済成長を念じた結果、深刻化する気候変動により各地で気象災害が発生してこのままでは住めない地球になってしまいそうです。そこで、社会のあり方を変革しなければいけないという危機感が世界中で高まっています。二酸化炭素(CO2)の排出量を減らさなければいけない、地球の平均気温をプラス1.5℃に抑えなければいけない、地球温暖化を止めなければいけない、という持続可能な環境問題への対応です。
EUに続いてイギリスが「国境炭素税」の導入を決めました。環境対策にゆるい国からの輸入品に関税を課す制度です。国内企業の競争力維持と規制のゆるい国への生産拠点の移転防止が目的です。そして、自信を持って「脱炭素化」に投資できる環境が整います。異常気象が頻発し、脱炭素化の必要性を痛感したことが導入を後押ししたとみられています。UAEのドバイで開催されたCOP28では、化石燃料からの脱却を進める成果文書を採択して閉幕しました。自動車輸出台数で中国が日本を抜き世界一になりました。環境に優しい電気自動車が世界で売れている結果です。新エネルギーEV車の開発普及に日本は世界から乗り遅れました。今年開催されるパリオリンピックは「脱プラ宣言」により会場へのペットボトルの持ち込みが禁止されますので脱炭素・脱プラの流れは世界中で加速します。
近年のビジネスは環境や社会と共存を実行することが企業存続の重要な要素になっています。環境に配慮し限られた資源を効率的かつ持続的に使用しながら人々の暮らしを改善し成長を追求していく取り組みです。その持続可能経済を支える新たな波が「グリーンフィンテック」です。環境保護に金融情報サービスを加えた経済活動で環境意識の高まりを背景に「グリーンフィンテック」に向けて世界の投資が集まっています。原子力発電のように放射性廃棄物や温室効果ガスを排出しない未来のエネルギー「核融合発電」に世界から巨額の資金が流れています。実用化は数十年先の話しですが、世界から研究者と資金が集まっています。静岡県は茶園の炭素貯留機能を計測する研究を始めました。茶園管理によるCO2吸収量をクレジット化して環境貢献企業に茶園の炭素貯蓄量を売却することができるようになります。温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「ネットゼロ」「ストップ温暖化」に向けて環境問題への対応は不可欠です。環境問題への投資「グリーンフィンテック」の流れが世界で加速し始めています。
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